2009/10/21, , 日経MJ(流通新聞)
客単価低下 全体の4割 メルマガ活用1日100件 カカクコム利用1988万人
日経MJがまとめた2009年版「eショップ・通信販売調査」で、08年度の通信販売の総合売上高(前年と比較可能な252社)は07年度に比べて3・9%増加した。主要小売業が軒並み前年より売上高を落とす中、部門別でインターネット通販が12・4%増、このうち携帯電話通販が13・2%増と成長が続いている。ただ全体の伸び率は3期連続で縮小、上位企業の苦戦も目立つ。消費低迷下の数少ない成長市場には大手小売業などの参入が相次ぎ、節約志向の高まりや価格比較が容易な環境を背景に価格競争が一段と激化している。(調査の詳細2~4面に)
千葉県八千代市の主婦、渡辺稔子さん(37)は、ネットをフル稼働して商品価格を確認するのが日課だ。特売商品やセール情報など携帯電話に届くメールマガジンは一日100件以上。通販サイトや価格比較サイト、チラシ情報配信サービスも活用し、ネット内はもちろん、実店舗も見比べて最安値でゲットする。
粉ミルクやおむつなどベビー用品から、菓子、コンタクトレンズ、医薬品や家電まで、チェックする商品は幅広い。「ベビーサークル(赤ちゃん用の安全柵)は1セット約7000円と、店頭の半額以下で買えた。1円でも安く買いたい」
価格比較が容易なのがネット通販の特徴。これが引き下げ圧力になり、実店舗より価格水準がそもそも低いが、一段の値下げが進行している。今回調査でもパソコンを使った通販の平均客単価は、昨年に比べ約500円低下。ネット通販の価格形成に、消費不振が色濃く反映してきた。
価格比較サイト「価格・com」の9月の利用者数は1988万人と、前年同月比35%増。「昨秋のリーマン・ショック以降、消費者が、価格により敏感になった」(カカクコム)。商品ジャンル別では「フード・ドリンク」の利用者数は3・4倍(9月、前年同月比)と突出。「単価の安い日常的なモノの価格まで少しでも安く買いたい消費者が増えている」(同社)
「もっと安いサイトがあったら教えてください。同じ価格まで下げます」――。ネットプライスドットコムが、同社の通販サイト内で今年3月末に始めた「最低価格保証」。掲示板で投稿を受け付け、同社で確認できたら値段を下げる。
開始から6カ月で価格情報について85件の投稿があり、48商品について指摘通り他サイトが安いことを確認、価格を下げた。9429円で発売したパナソニックのワキ専用美容機器「光エステ」は、8550円に値下げした。
楽天は、ネットモール「楽天市場」内に今年3月、「発掘!激安『訳あり』アイテム特集」のコーナーを開設した。形が不均一だったり、余りや切れ端だったりといった理由で価格の安い食品などを掲載している。「箱のつぶれた家電や化粧品など、単価が高くて安さを実感できる商品が人気。10月のサイト閲覧数は、開設当初と比べて6割は増えた」(楽天)
生鮮食品などを扱うネットスーパーでは、イオンやイトーヨーカ堂など大手小売店が値ごろ感の訴求に一段と力を入れている。ディスカウントスーパーのロヂャースは39円コーラなどを品ぞろえし、「ネット通販最安値に挑戦!」と掲げて安値競争を仕掛ける。
今回の日経調査で「08年度に一部の商品で値下げを実施した」という企業は52・6%と過半数を占め、「すべての商品で値下げした」企業も1・4%あった。07年度と比べて商品単価が低下したと42%が回答し、「10%以上」単価が下がった企業も約12%いた。安値競争と節約志向の波は、ネット通販市場も巻き込み勢いを増している。