2009年8月3日月曜日

Q顧客からのクレーム、しつこくて業務に支障(リーガル3分間ゼミ)

2009/08/03, , 日本経済新聞

 A 度が過ぎれば恐喝罪も
 衣料品を販売するネット通販事業者の顧客対応窓口担当者。顧客からベルトの金具に不具合があったと苦情がきた。返品された商品に問題はなかったが、連日電話で文句を言われ、販売サイトのコメント欄にも悪口を書かれた。業務にも支障が出ており、何らかの法的対処を検討したい。
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 購入商品について、納得できない旨を販売事業者に申し入れるのは消費者の正当な権利だ。しかし要求内容や伝え方によっては法に触れることもある。最高裁は1987年、消費者団体「日本自動車ユーザーユニオン」の顧問弁護士と代表に恐喝罪で執行猶予付きの懲役を科す決定を下した。
 東京地検は2人を、欠陥車を販売したメーカー側に対する示談金と称しての9750万円の恐喝と18億9854万円の恐喝未遂で起訴。最高裁は2人の行為を「消費者運動の枠をはみ出している」と判断した二審判決を支持し、被告側の上告を棄却した。
 消費者トラブルに詳しい牧野和夫弁護士は「被害が事実だったとしても、法外な金額を取り立てた場合は、恐喝罪の対象になることもある」と指摘する。クレームの電話を何百回もかけるなど、社会的相当性を逸脱する行為は、業務妨害罪に問われる可能性がある。
 通販サイトのコメント欄に書かれた苦情や悪口に関しては「自社サイトなら、管理人の判断で内容を削除することをあらかじめ規約に定めていれば、勝手に消しても法的に問題にはならない」(牧野弁護士)。
 では、顧客が勝手に商品を送り返してきた場合、事業者は受け取りを拒否できるだろうか。
 通信販売に関しては現在、一定期間内なら無条件で返品を受け付ける「クーリングオフ」は適用されない。しかし、今年12月の改正特定商取引法の施行で「事業者はクーリングオフを受け付けない旨を分かりやすく広告で示さない限り、返品に応じなければならなくなる」(経済産業省)。
 商品に瑕疵(かし)があった場合は債務不履行に当たり、クーリングオフ期間内かどうかにかかわらず契約解除の要件となる。一方、商品に欠陥が無い場合は「顧客に請求通知書を送って、支払いを促せば良い」(東京経済大学の村千鶴子教授)という。実際には販売後に、欠陥の責任が事業者と消費者のどちらにあるかを判別するのは困難なため、期間限定で返品保証を付けるのが無難だろう。
ポイント
(1)社会的相当性を逸脱する行為は業務妨害罪にあたることも
(2)自社サイトへの書き込みは管理人の判断で削除可能