2009/11/11, , 日経MJ(流通新聞)
D4DR社長
ポイント
(1)携帯EC市場の伸びは著しく、新たな成長ステージに入った
(2)携帯の特性に適したサイト作りや人材配置、顧客の声の反映が重要
(3)新たな購買スタイルを生み出す可能性が高いスマートフォン対応を
成長が続くEC(電子商取引)市場の中でもモバイル分野は特に注目すべき分野である。2007年までの統計データでもコンテンツだけで5000億円弱、ECも9000億円近いという数字があるが、昨年から今年にかけ新たな成長フェーズに入った。
携帯ECサイト最大手のニッセンでは前年度比48%という高い成長を続けており、携帯だけで150億円を越える売上高も視野に入ってきた。他の企業と同様に元々携帯ECのノウハウがあったわけではなく、携帯サイトでは試行錯誤してきた。特にユーザーの改善意見を積極的に受け付ける「目安箱」を設置し、その内容を公開、改善状況をオープンにユーザーに見せ、自らの改善スピードにプレッシャーをかけるなどの徹底したPDCAサイクルで一気に成長した。
今年の夏からは20代前半女性のモバイルユーザー専用に新しいブランドサイトを立ち上げている。ここではこれまでのカタログと兼用していた写真を使わず、モバイル専用の写真を用意し、キャッチコピーも変えることで20代前半の取り込みに成功、売上高を順調に伸ばしている。同じワンピースでも若いモデルを起用し見せ方を変えることで、訴求するターゲットの反応率が大きく変わることも実証できたという。
企業側からすればとりあえず携帯でもやってみようという段階は終わった。コストはかかるが、モバイルというチャネルの特性を生かして人材配置とサイト作りをして、他社や他チャネルと競争させるような段階に入ってきたと言える。まさにここ数年の携帯サイトへの戦略投資が重要になるだろう。
ニッセンでは現在は20代前半女性を戦略ターゲットにおいているが、今後はこのアプローチにより、メンズや高年齢層もモバイルに十分取り込めると考えているようだ。
携帯を利用したアバターやアイテム課金も昨年から非常に大きな伸びを示している。主に無料で使えるゲームやコミュニケーションのための追加アイテムを購入するというビジネスモデルであり、その手軽さから数百円のデジタルコンテンツが飛ぶように売れている。
最大手のグリーの今期の業績は前年同期で倍増する勢いである。先日も未成年が携帯で多額のアイテムを購入し高額の請求をされる問題が表面化、社会問題となった。今後も様々な問題は出てくるだろうが、広告収入モデルに頼りすぎると言われてきたネットビジネスにおいて、課金モデルの成立による収益多角化は歓迎すべきことであろう。
今後の注目は、急速に普及するとみられるiPhone(アイフォーン)やアンドロイド端末などのスマートフォンだろう。当初はビジネスユースと想定されていたスマートフォンだが、ゲームアプリなどの人気ですっかりエンターテインメント端末としても利用が広がっている。
大きな画面に触れて入力するタッチスクリーンというスタイルは携帯端末の活用シーンを広げつつあり、ECにおいても新しい可能性が期待される。すでにアイフォーンに対応する事業者も増えている。現在は検索画面中心に対応ページを用意する企業が多いが、アマゾンはすでに購買フローもアイフォーン専用に作っている。制約の多かったユーザーインターフェースにも様々な新しい可能性があり、商品の探し方や衝動買いの訴求などの工夫が新しい購買スタイルを生み出すかもしれない。